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2014年3月20日木曜日

タルコフスキー「鏡」・解読1

解読はまだやっている最中で着地点が見えないが、
面白いことを見つけたので公表。

作中浅瀬を渡るシーンがある。



この浅瀬は「腐海」という名前らしく、
なにやら宮崎駿への影響を匂わせる。
(風立ちぬの「ピラミッド」もおそらくそうである)

http://yomitoki2.blogspot.jp/2014/02/24.html

そしてこの「腐海」は、なんとクリミア半島へ渡る場所であるそうである。

遺作「サクリファイス」でも、核を描き、直後にチェルノブイリが起きた。

http://yomitoki2.blogspot.jp/2014/01/blog-post_3.html

こういう予言じみたことがあるのが、
この作家最大の特徴である。

クリミア情勢の今後に注目したい。


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2014年3月4日火曜日

映画「ゴットファーザー」の構造解析のついでにコルレオーネ一族の失敗をかえりみる


ボナセッラの娘は顔をぐちゃぐちゃにされた。ドンは報復をした。
→ドンの息子(ソニー)は全身をぐちゃぐちゃにされた。ボナセッラは修復した。


ドンはパン屋の娘の恋人がイタリアに帰るのをストップさせた
→ドンの息子はイタリアに逃げた


コニーの結婚式では神父がおらず、卑猥な歌が歌われていた
→アポローニャの結婚式では敬虔な儀式が行われた


コニーの結婚式では新婦は父と踊る
→アポローニャの結婚式では新婦は新郎と踊る


ドンのお願いを拒絶した映画プロデューサーは、馬の首を切られた
→ソロッツォのお願いを拒絶したドンは、ルカの首を絞められた


ドンは小さなバーの会議で麻薬取引を断った
→ドンは大きく豪華な会議室で麻薬取引を了承した


ドンは車の外で撃たれた。外にはオレンジ
→ポーリーは車の中で撃たれた。中にはお菓子


ドンはオレンジを買おうとして後ろから銃で撃たれて倒れる
→ドンはオレンジを口に含んで孫を驚かし、後ろから水鉄砲で撃たれて死ぬ
(鉄砲=水鉄砲)


マイケルは病院の玄関の階段の上で頑張った
→バルジーニは階段の上から転がり落ちた


カルロがだましてソニーは車ごとぐちゃぐちゃになって殺された
→マイケルがだましてカルロは車のフロントガラスを割りながら殺された




という感じで対句で組み立てている。
それで、そもそも問題が難しくなって、
ドンもソニーもカルロもテッシオも死ぬはめになったのは、
最初にルカが殺されたからである。
コルレオーネファミリーは、最大の戦闘力を喪失して、
一気に戦いが苦しくなった。

ではなんでルカが殺されたかというと、
対句表現的には、トム・ヘーゲンが
プロデューサーの馬の首を切ったからである。
馬の首を切ってベッドに入れたのがまずかったのである。

例えば馬の尻尾を切って布団の中に入れておく、
とかだったらよかったのに、
ルカも手をナイフで刺されるくらいで済んだのに、
だったらタッタリア、パルジーニとの抗争も有利有利にことを運べただろう、
という奇抜な答えになる。

(「ゴットファーザー」の原案とも言えるドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」では、
トムに該当する人物はスメルジャコフといって、西洋に訪問したことのある、去勢手術を受けたらしい人物である。
トムのみがアイルランド-ドイツ系の人物であるのと同じように、
一人だけ異質の人物として描かれており、実際スメルジャコフが悲劇を生産してしまう)

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2014年2月27日木曜日

風立ちぬ・解説24

カプローニ「君はピラミッドのある世界とピラミッドのない世界、どちらが好きかね」
次郎「ピラミッドですか」
カプローニ「空を飛びたいという人間の夢は呪われた夢でもある」

岡田斗司夫はこのピラミッドを、美しさの象徴としている。
悪い解釈では無い。
しかしよりよい解釈は、
「理想の探求」である。


ピラミッドというシンボルの元ネタはタルコフスキーの映画、
「ノスタルジア」にある。

宗教的人類救済を志すドミニコという登場人物が、
ローマの広場で叫ぶ。

「誰かがピラミッド建設を叫ばなければならない、
完成できなくてもいい、
願いをもつことが肝心だ、
魂をあらゆる面で広げるのだ」

ドミニコはその後自分の体にガソリンをかけて火をつけ、
火達磨になった上で高いところから落ちて、
のた打ち回って死ぬ。
ここで言うピラミッドは、理想という意味であり、
そのようにとってはじめて、
「風立ちぬ」のカプローニの言葉の意味がきれいにつながる。



カプローニ「君は理想の探求のある世界と理想の探求のない世界、どちらが好きかね」
次郎「理想の探求ですか」
カプローニ「空を飛びたいという理想の探求は、呪われた探求でもある」

なぜ呪われているか。
それはヨハネの黙示録に書いてある。
天上、地上、地下と世界を分別し、
天上に上ろうと希求する気持ちが、
すなわち天からの墜落を発生させる。
上らなきゃ落ちないのは当然である。

黙示録には「落ちる」というイメージが頻発するが、
「風立ちぬ」にも墜落が頻発し、
ドミニコのように落っこちながら、火達磨になって滅んでゆくのである。

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