卜式(ぼくしき)は前漢の人である。元来は羊飼いだった。羊を育てるのがやたらと上手かった。羊の数が膨大に増えた。弟がお金に困った。羊の大部分を弟にあげた。残った羊を育てた。羊の数はふたたび膨大に増えた。「どうやって増やすのか」と聞かれた。「悪い羊を取り除くだけだ」と答えた。
色々あって(途中全て割愛する)彼は漢の武帝に仕えた。
式既在位,見郡國多不便縣官作鹽鐵,鐵器苦惡,賈貴,或彊令民賣買之。而船有算,商者少,物貴,乃因孔僅言船算事。上由是不悅卜式
卜式が御史大夫の地位にあった時、郡国(地方)の多くで県官が塩鉄の専売を行うことに不都合が多いと見て取った。鉄器は質が悪く、値段が高く、あるいは無理やり民に売買させていることもあった。また、船には税金がかけられ、商人が減り、物価が高騰していた。そこで、卜式は孔僅を通じて船の税金(算)について意見を述べた(船に税をかけることを止めろという意味)。これにより、天子(武帝)は卜式を不快に思った。(Gemini翻訳)
なぜ船に税金をかける事が良くないのか。なぜ卜式はデーターもないのに良くないと断言できるのか。どうも今の経済学者の多くは、このことが理解できないキャラのようである(頭の良しあしは関係無い。そもそも卜式は羊飼いであって学識は無い)。逆に消費税反対を主張する人は、直感的に卜式が正しいと分かるだろう。武帝は、経書の知識と国政の経験は卜式の数百倍あったが、わからなかったほうである。経済はコミニュケーションの一種であり、円滑さを宗とする。船への税は円滑なコミュニケーションを阻害するから悪なのである。
この卜式のちょっとした発言を史記平準書に記載する司馬遷も、どうやらわかったほうであったようである。これぞ歴史家である。