ページ

2023年9月27日水曜日

チョムスキー「誰が世界を支配しているのか?」より

 新しい世界秩序の中における日本の役割は、米国の政策立案者たちにとって重要な関心事でした。米国の内部資料を読むと、1950年からベトナムに介入した米国の動機は、正統的な「ドミノ理論」が大きな理由となっています。これに従うなら、ベトナムで独自の発展が成功すると、近隣諸国も同じ道を歩むかもしれません。その動きが資源豊かなインドネシアまで到達すると、独立した東南アジアに日本が受け入れられ、工業と技術の中心地になる可能性が出てきます。そうなると、戦前の日本のファシストたちが確立しようと狙っていた秩序が実現することになります。日本史の専門家ジョン・ダワーが述べた通り、日本は「スーパードミノ」であり、倒れたら大問題です。米国が恐れたのは日本の共産主義化よりも、米国が支配する「大領域」の外側における独自の発展に、日本が組み込まれることでした

(16P)


ベトナムへの関心は、ここの「病原体」がインドネシアにも伝染する可能性だった。確かにインドネシアには豊富な資源がある。その次に起こるのは、著名なアジア歴史の専門家ジョン・ダワーが「スーパードミノ」と呼ぶ日本が、独立したアジアに取り込まれ、その技術と工業の中心となることだ。そうなると日本に米国の権力が及ばなくなってしまう。それが意味するのは太平洋戦争で米国が負けたのと同じになることだ。米国が戦ったのは、日本がそのような新秩序をアジアに打ち立てようとしたからだった。(128P)