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2014年10月30日木曜日

風立ちぬ・解説28

神曲煉獄編、魔の山、堀「風立ちぬ」と宮崎「風立ちぬ」の、
共通要素の一覧である。










もはや、いちいち細かい説明はしない。
この映画が傑作であるという証明は、
この一覧だけで十分である。


ダンテのこだわった「7」という数字は、
聖書由来のものであるが、
淵源をたどればメソポタミア文明にゆきつく。
メソポタミアは海から上がってきた7人の賢人が、
7つの都市を建設してから始まった、
という伝説があるらしい。
宮崎駿がそこまで意識したものかどうかは不明である。


文化とは連続である。
物語を要素に分解して、
「これでどんな物語も自由に創造できる」
とよろこんでいた時代もあった。
(お気づきだろうか、
物語を要素分解して、組み合わせを変えて再創造というのは、
遺伝子組み換え作業に酷似している)


だがそれは創造ではなく、
順列組み合わせの羅列でしかない。
人や民族や国と同じく、
物語も時間の上に連続して存在するものであり、
南北朝の楠→大阪の陣の真田→太平洋戦争の神風
のように、連続してひとを動かすものである。


そのような物語の連続性を描写しつつ、
宮崎終生の主題である、
テクノロジーと人間の相克を描いたのが本作である。
宮崎駿「風立ちぬ」の解読をこれにてひとまず終了する。



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2014年10月10日金曜日

こぶとり爺さん

内田樹が、
「こぶとり爺さん」の話は
「不条理な話」だと解説している本を読んだ。
私の見解では、不適切な解説である。


Wikiの解説
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%93%E3%81%B6%E3%81%A8%E3%82%8A%E3%81%98%E3%81%84%E3%81%95%E3%82%93
も不適切に思われる。


この話は
「異人交易はタイムラグが発生する、
しかし最終的にはスクエアになる」
という内容である。


だいたい、日本の昔話に鬼やら動物やら山姥やらが出てきたら、
異人交易のネタである確率が高いと思って間違いない。


いわゆる「読む」「深読みする」と呼ばれているいう行為は、
マニュアルもなければ問題集もなく、
実を言うと完全な正解も無い。
それでもより確からしい答えを探らなければならないのだが、
完全な正解がないゆえに、
ばかばかしくなって途中で止める人が多いようである。
気持ちは分かる。
私もほぼ毎日ばかばかしくなる。
しかし私には他に能が無いので、仕方なくやっている。