細胞が簡単に初期化するという仮説を立てただけでこれほど大げさに騒がれるのは、
みんな細胞は簡単には初期化しないと思っている、ということである。
初期化するのか、しないのか私には分からないが、
今までやりかたが見つからなかったくらいそれくらい、条件的に難しいことは間違いない。
かつて司馬遼太郎が、
「組織は発生当時の性質を引き継ぐ」
という仮説を立てた。
細胞が初期化しづらいなら、
人間組織のような大きなものが初期化しないのは、
当たりまえである。
司馬の論拠は、江戸時代の藩にある。
「幕府成立時の藩主の振る舞いが、鳥羽伏見に反映している」
藤堂高虎は大阪を裏切って徳川にすりよった人物だが、
藤堂家は鳥羽伏見では徳川を裏切って幕府についた。
裏切りによって徳川政権成立を支えた藩は、
裏切りによって徳川政権崩壊を支える。
藤堂藩は裏切りが一貫しているし、
そういう藩が多い、というのが司馬の説である。
私なりに考えても、
毛利は関ヶ原で西軍につき、事情あって戦闘に加われなかったが、
とにかく負けた。負けて領地を減らされた。
それで260年間、毎年正月に言い続けた。
「殿、今年こそは徳川征伐をいたしましょう」
「いやまだ待て。準備が整っていない。今年は見送ろう」
こんな儀式でも260年続ければ現実化する。
徳川政権にたいする被害者意識と復讐によって作られた藩は、
徳川政権にたいする被害者意識と復讐を実現する。
毛利は被害者意識と復讐が一貫していたのである。
大日本帝国の初期条件はペリー来航である。
アメリカの艦隊に対抗する為に、新しく国家組織がつくられた。
その国家組織滅亡の過程を見れば、
司馬の仮説は正しいのではないかと思われる。
まるでゴキブリがゴキブリホイホイに引き込まれるように、
フラフラと、理性を失って対米戦争に引き込まれている。
連中が馬鹿であったというのは簡単で、事実でもあろうが、
なぜかその瞬間ものすごく馬鹿になってしまったというのが、
より正しい表現であろう。
アメリカ艦隊に戦うためにつくられた国家は、
アメリカ艦隊との戦いに吸い込まれてゆくのである。
大日本帝国はアメリカ艦隊との戦いということで、一貫していたのである。
さらに、物凄く近い例では日本銀行がある。
日本銀行はもともと、インフレ対策として設立された組織である。
だから断固としてインフレに対抗し続けた。
デフレになってもインフレに対抗しつづけた。
その初期条件の縛りを抜け出すのに、
20年くらいかかった。
経済状況の悪化で、死ななくても良い人がおそらく数万人単位で死んだ。
でも20年間、抜け出せなかった。
インフレを克服されるためにつくられた中央銀行は、
インフレでなくなっても、妄想の中のインフレを克服しつづける。
日銀はインフレと戦い続けるという意味で、一貫していたのである。
それほどまでに、組織の初期条件は恐ろしいのである。
さて、大韓民国は、第二次大戦後、アメリカによって作られた国家である。
作った目的は、日本の軍事的伸張を封じ込めることにある。
だから李承晩のような人物を大統領に担ぎ上げた。
いわば日本と敵対するために製作された国家である。
さらに言えば、反日教育を、260年ではないが、
半世紀も続けてきた国家である。
さてここで、司馬の仮説を当てはめて考えてみよう。
組織は初期化できない、という仮説を。
初期条件で一貫しつづける、という仮説を。
私はこのままでゆけば必ず、日韓間に戦争が起こると思うのである。
「新しい組織にすればいいじゃないか。
例えば北と統一国家をつくれば、新しい国家になって、
初期条件の縛りは解消されるはずだ」
そう、確かに理論上はその通りである。
しかし、
二千万人の飢えた民を抱え中国と直接国境を接する道と、
日本と戦争をする道、
どちらが韓国国民にとって得か。
私が韓国国民なら、一瞬のためらいもなく後者の道を選ぶ。
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