罪と罰
アップしました。
ドストエフスキーの「巨大さ」について、
とりあえずの解が見つけられたと思います。
登場人物をグループ化して、
巨大さを演出しています。
岡田英弘が昔激語して曰く、
「ロシアは存在しない。
今日我々が見ているロシアは、
ロシア文学者たちがでっち上げたものだ」
天才は、自分のアイデンンティティーに不安を持つ人々が、
多くいる社会に出現します。
社会が稀代の詐欺師を必要としている時に、
稀代の詐欺師、つまり天才が出現するのです。
ロシア人は明らかに悩んでいました。
自分たちは西洋人なのだろうか。
クリスチャンであるのは間違いないが、
本質的にはタタール人なのではないだろう。
そんな不安を打ち消すべく、
強力な天才が出現して、
理念を組み立てて建築物のように小説を書いた。
だから、ドストエフスキー、トルストイ以降、
ロシアの芸術家は小粒になってゆきます。
ドストエフスキーにすがれば良い分だけ、
努力の必要がなくなったからです。
ドストエフスキーが永遠であるならば、
ロシアは今後、彼以上の天才を産まないでしょう。
必要がないからです。