「神曲」解説【ダンテ・アリギエーリ】
週休二日さんから凄い読み解きが上がってきたので、まずはお読みいただきたい。じっくり読んで消化した上で戻ってきていただきたい。情報量が非常に多いので、「神曲」を軽くでも読んだことがない方は再読、三読くらいは必要だろう。画期的な読み解きである。
以下私なりの補助解説
1189年、十字軍が開始された。この後何度も繰り返される。ヨーロッパ世界のイスラム世界との接触が戦争によって増える。そしてフィボナッチという数学者が出現する。多くの人はフィボナッチ数列で名前で覚えられていると思うが、彼がイスラムの数学をヨーロッパに紹介する。イスラムの数字も紹介する。位取り法もはいっている。
それまでヨーロッパの数字は、ⅠⅡⅢⅣであった。やってられない。フィボナッチ以降は1234になる。当然計算能力は増大し、簿記会計能力も増大するから、つまり商業能力も増大する。
最初の複式簿記の記録は判然としない。1296年ごろという説がある。ダンテの在世中である。ダンテが生きた時代は、計算能力、簿記能力の革命の中だったのである。その社会で書かれ、強く支持された文学がどのような性質のものか、上記記事をご確認いただきたい。納得いただけるものと思う。
次に東アジア世界の年表と合わせて考えてみる
東アジア世界では、西洋のような数字、計算革命は見られない。
それ以前、例えば北宋は当時世界で最も科学技術の進歩した国だった。しかしモンゴル、明以降徐々に地位を落とし、日中戦争あたりが最低値になる。
日本も鎌倉仏教を宗教改革とするならば、ヨーロッパよりもむしろ先んじている。しかし数字、計算革命は見られず、文学の大きな進歩も見られない。
エマニュエル・トッド式に「日本は世界の先端から遅れたことがない」と表現するのは、識字率という点では当たっているし、そこだけで見るならむしろ日本のほうが優れている。高等数学も和算の関和孝が、ニュートンとほぼ同時期に微分積分発見したとかの例もある。しかし社会全体としては会計能力が劣っていることを、ここ30年で我々自身で証明してしまった。それに対する文学系からの正当な批判はほぼゼロだったし、反省も今の所全く聞こえてこない。
ダンテ「神曲」は西洋近代文学の根源とも言える作品である。その中にはフェボナッチからの数学の組み込みが大量に含まれていた。だとするならば、その後の作品もそれを継承するはずである。「ヴェニスの商人」が資本主義を扱い、「ファウスト」「ニーベルングの指環」が通貨発行を扱うのも当然なのである。大きく言えば「ニーベルングの指環作品群」は、「神曲作品群」の末端と呼んでさしつかえない。「神曲」からはじまった巨大な「数字、文字複合文化」の末端を、そうと知らず我々は鑑賞していたのである。
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