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2013年8月11日日曜日

含むネタバレ 風立ちぬ・解説4

カストルプはゾルゲのようなスパイである。スパイだからこそ、次郎に接近する。スパイだからこそ、追われる。そしてスパイに接触したからこそ、次郎は特高に追われるのである。このあたり歴史をしらないと理解しにくい。

含むネタバレ 風立ちぬ・解説3

カプローニの飛行機で失敗するのは、飛行艇、つまり水上に浮いている飛行機である。だから、航空母艦からの飛行機の離陸も失敗する。水は生命を暗示する。二人が再開するのは泉のほとりである。
最初にエンジンから油を吹くのは、夢の中で邪悪な敵機を見たときの次郎の飛行機である。次に油を吹くのは、空母に着艦する際である。油は戦争、敵、血を暗示している。水と油、大変緊密に構成された映画である。

含むネタバレ 風立ちぬ・解説2

「宮崎スペシャル」と私は呼んでいるのだが、宮崎駿がもっとも気持ちが盛り上がったときには、無音、ないしほぼ無音で、劇的な効果を演出する。ラピュタで嵐に巻き込まれ、嵐の中で死んだはずの父の後姿を見るシーン、もののけでシシ神がアシタカのもとに歩み寄るシーン。「風立ちぬ」では無音シーンは二回出てくる。最初は試作機失敗の回想シーンとして、二回目は試作機成功のシーンとして、そして同時に妻の死去のシーンとして。