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2014年9月25日木曜日

西アメリカ帝国Ⅱ





西アメリカ帝国
http://yomitoki2.blogspot.jp/2014/05/blog-post.html
の続きである。


GHQは日本支配を永続させる為に、
教育と、マスコミと、司法を制御した。
このうち司法は、佐藤優の粘りによって権威を完全に失墜した。
マスコミは産経以外はほぼアメリカの初期設定どおりに動いていたが、
今回の朝日従軍慰安婦の件で日本支配の機能はほぼ破壊された。
(あるいは見方を変えれば、朝日はアメリカに捨てられた)
そして、アメリカ国務省の発言が、微妙に変化してきた。
日本の力を解放させようという方向に向かっている。
「ダレスの恫喝」に代表されるように、
日本封じ込めの主体は国務省(ようするにアメリカの外務省)だった。
状況は徐々に「西アメリカ帝国」確立に向かっている。
もっとも、アメリカの世界経済における相対的地位の低下から考えると、
この方針転換は遅すぎた。
いまでもプーチンと無用な軋轢を生産して、
結果、中近東に対するプレゼンスを喪失している。
これはひとえに、
アメリカがまだ自分の力の相対的な衰えをまだ十分自覚できていないことの現れである。
そして、最終的な着地点は、
アメリカは「中央アメリカ帝国」になり、
日本は「西アメリカ帝国」になり、
ドイツが「東アメリカ帝国」になる。
日本、ドイツが安全保障の大きな部分を分担することになる。

その着地点に出来るだけスムーズに移行することが、
これからの日本の課題になる。
重要なポイントと思うもののみ列挙してみよう。
1、日本とドイツとの距離を近づけてはいけない。
アメリカに「結託して復讐されるのでは」という恐怖感を抱かせることになる。
2、従軍慰安婦はまだ大丈夫。
南京大虐殺、および原爆投下をあまり言い募るのはまずい。
これもアメリカの恐怖感を増幅させる。
(日本人は報復しようという気持ちはないのだが、
人間は自分と同じように他者が行動すると思ってしまう生き物である)
3、韓国とは適切な距離感を持つ
アメリカは大日本帝国の復活を望まないし、
同時に現在の韓国をよりよい方向に持って行く力を失っている。
したがって当面様子を見なければならない。
4、中国とも適切な距離感を持つ
これも同じ理由である。
日本と中国が親密になり、
同時に日本とロシアが親密になれば、
アメリカとしては日本に水爆を落とすしか分岐がなくなる。
5、安倍外交の活動量を維持する
アメリカの外交方針を決めるのは国務省である。
つまりアメリカ外務省である。
アメリカの外務省のひとびとの心に響くのは、
日本の外交活動である。
プロというものは、そういうものである。
外交活動は、経済活動、軍事活動よりも、
プロには、はるかに強い印象を与えうる。


以下蛇足。
実は安倍外交の活動量は、
消費税増税を阻止するためではないかと疑っている。
日本の経済力をどの程度にするかは、
アメリカにとっての死活問題である。
大きくしすぎると自分が食われる。
だから消費税という経済発展クラッシャー税を増やすことによって、
日本に経済成長のブレーキをかけさせていた。


安倍政権の作戦は、

国務省に認められる活動をすることによって、
「頼りになる味方だ」と認識してもらって、
消費税増税を延期させてもらう、という作戦ではないかと思っている。
甘利さんや麻生さんが、
「海外の市場の反応が」とかグニュグニュ言っているのは、
本当は「アメリカ意向が」と言いたいのではないかと思っている。
そして安倍さんの外交努力によって、
アメリカの意向も消費税凍結容認の方向に変わっていっているように、
私には見える。




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2014年9月8日月曜日

勤労少女まどか






劇中明かされる「魔法少女になった動機」は、
明かされる順序に従って段々と魔法少女業務との関連が密接になってゆき、
最終的にほぼ完全に一致する。




これは、段々と勤勉になってゆく物語である。
勤労が自己目的化してゆく物語である。

2014年8月29日金曜日

タルコフスキー「鏡」・解読19

「鏡」の解釈について、訂正である。
前に


(第一部)
 1、草原と若い母と旅の医者(幼年時代)A-1
2、母の印刷工場時代(少年時代)B-1
3、別れた妻との会話・カラー(成人時代)C-1
(第二部)
 4、戦争の時代の記録映画(幼年時代)A-2
5、イグナートの留守番(成人時代)B-2
6、兵役訓練(少年時代)C-2
(第三部)
 7、別れた妻との会話・モノクロ(成人時代)C-3
8、母とたずねた田舎の家での営業(少年時代)B-3
9、草原と老いた母と主人公(幼年時代)A-3




となる構成にしたがって、私なりに読み解くと




1、侵攻を喪失したロシアに、ヒトラーが接近した。ヒトラーは去ったが、国土は焼かれた
2、その後、圧制の時代になった。一言半句の間違いが命取りになる時代。
 3、圧制も終わり、通常の生活の中でも、過去のスペイン内戦介入の残滓は引きずっている


4、スペイン内戦介入から始まる、全ユーラシアの戦乱の時代
 5、思えばタタールの侵入以来のロシアの宿命はまさにそこにあった。全ての苦難を引き受けてきた
6、戦争で傷ついた教官が、両親を封鎖で亡くした少年に軍事訓練をほどこす。
 苦しみの連鎖。少年たちは心の鳥(希望)を握り締めてしまう


7、一見平穏に見える現在の生活も、内実は非難と疲労で成り立っている。
 涙の中から宗教への希求が立ち上がる。
 8、強制されたとはいえ、最悪だったのは、スターリンの粛清の時代である。
だが、最悪の悲劇の中にも、意味は存在する。他者の苦しみを請け負うという意味が。
 母なる大地の苦しみに、父なる神も寄り添う。子である人民も寄り添う。
 9、歴史は克服され、ロシアの焦土化も回避される。
 握り締めた希望は飛び立ち、主人公自身も鳥となり、希望を体現する



と書いたが、鳥は明らかに、聖霊である。
キリスト教絵画では聖霊は鳥として描かれる。
だから希望というより、聖霊とみなしたほうが良い。

そして聖霊とはすなわち、耳に訴えかけるもの、
言葉である。
ニケア信条を読み解く
http://yomitoki2.blogspot.jp/2010/02/blog-post.html


6章で少年は軍事訓練の後、言葉を握りしめた。
8章で鳥が宙に浮く母の前を横切る
9章で握りしめた鳥は飛び立ち(すなわち言葉が飛び立ち)
、主人公も鳥の声で鳴く(すなわち言葉を取り戻す)。


ここで重要なのが、
最後の子どもの主人公が鳥の声で鳴く、というシーンである。
ギリシャ正教では聖霊は父からのみ発する。
カトリックでは聖霊は父からも子からも発する。
タルコフスキーはカトリック思想の持ち主だという証言があるらしいが、
それはこの鳥の扱い、つまり聖霊の扱いから明らかなのである。