もはや最後のパーツになった。
少年たちの中で、アリューシャに該当するのは、
コーリャであろう。
アリューシャがミーチャを救出するがごとく、
ゾシマの兄の記憶が決闘に向かうゾシマの魂を救出するがごとく、
コーリャは犬のジューチカを救出する。
そしてこれで、カラマーゾフの兄弟が、
都合4セット完成したことになる。
1)本来の兄弟
2)僧院での女性信者
3)ゾシマの過去語り
4)未来のカラマーゾフたち
僧院で女性信者はおそらく、
神の世界でのカラマーゾフの描写であろう。
現在、過去、未来、カラマーゾフは繰り返し存在する。
この構成の背後の思想を性急に類推しても、成果はすくないであろう。
ただこの構成をより詳細に検討することからのみ、
カラマーゾフというこの、
おそらく世界中の文学好きの頭を、
重苦しく押さえつけてきた問題作品の、
言葉は悪いが、有効利用の方法が開けるのではないかと、
私は考えている。
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