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2021年8月20日金曜日

物語としてのスポーツ

 スポーツは時系列上に存在するから、物語の一種である。しかし鑑賞しやすいわけではない。戦術が高度になればなるほど、鑑賞しにくくなっている。


恥を承知で言えば、私の動態視力では、井上尚弥の試合はもはや楽しくない。突然相手のパンチに井上の首がねじれ、しかしなぜか相手がダウンしている。数回見なければなにが起こったか理解できない。その理解の難しさは、すなわち現実の理解の難しさである。昔のダウンした、ダウンしかえした、の二転三転ボクシングとは遠い世界になったが、それと比例して現実社会も複雑になり、知的になっている。井上尚弥のボクシングはだから、ストレス解消には(私のような鑑賞ヘボには)まったくならない。ただの勉強である。


スポーツ以外では、囲碁将棋もそうなっている。10年以上前から、Aiに解析させながら終盤戦を鑑賞するようになった。今は意地悪く「先手は間違えた」「後手は間違えない」と論評しなが観戦する。ということはつまり、昔よりも一般のファンは、戦われている内容を理解できなくなっているのである。なぜって一般人がウンウン考える時間が減ったから。


スポーツを見ても将棋を見ても、どんどん理解が難しくなってゆく。物語もそうだろう。大昔には、物語は世界理解へのとっかかりになっていたのだろう。今日では世界理解への妨げになっているかもしれない。なぜって、複雑な物語でなくては意味をなさないほど世界が複雑になり、かつ複雑な物語は複雑であるがゆえに理解が難しいから。

2021年8月19日木曜日

野球の便利さ

 ダラダラとスポーツ話になるが、オリンピック中ソフトボールや野球をみて、実は感心した。子供の頃からテレビ観戦するのは野球だったから、こちらに知識がある。そのことを差し引いても、野球のほうが理解しやすい。


フォファボールで出塁→バント成功→凡退、しかしランナー3塁へ進塁→三振、2アウト→カウント2-3、という感じでドラマがじわじわと盛り上がる。盛り上がった上でのタイムリーヒットは、快感である。ソロホームランをあるにはあるが、ドラマの組み立てとしては野球はやはり優れている。


これがサッカーだと、突然点が入る。うっかりしていると見逃す。点が入るには入るだけの原因があるようなのだが、素人が画面見てドラマとしての盛り上がりを体感するのは難しい。あっさり点が入り、あっさり点を取られ、他大部分は一進一退の退屈な攻防である。


サッカー解説者もずいぶん進歩したから、昔よりは楽しみやすい環境になっているはずである。海外のサッカーの戦術の研究も進んでいる。でもやはり野球のほうが楽しみやすい。このカベをサッカーは乗り越えられるのか。難しいと思う。守備と攻撃で装備が違うことが、野球のわかりやすさの最大要因である。サッカーは無理である。


もしかしテレビ画面に、「両チーム累計走行距離」「保持率」など各種数値がリアルタイムで表示されれば、もう少しなんとかなるかもしれない。

2021年8月18日水曜日

生産能力

 古橋亨梧らは大活躍も…選手輸出超過国の悲哀「ベルギーの前例」【世界とJリーグの移籍市場2021】(1)(サッカー批評Web)

#Yahooニュース
https://news.yahoo.co.jp/articles/53ca83915a4128848a3995cd56b231ea7cb446f6


こういうことをグニャグニャ考える人というのもよくわからない。だいたい供給能力は需要に引っ張られて伸びる。選手育成能力は、日本人選手が海外に売れる限り伸び続ける。年度単位で言えば、その年プロになる若者の人数が増え続ける。そしていつか世界市場でバランスする。大量の日本人選手が海外でプレーする。当然WCでも良い成績をコンスタントに収められるようになっている。

その時、ブラジルやアルゼンチンよりも沢山選手が「売れる」国になっていると思う。野球業界はこの育成能力という点で実はさのみ成功しなかった。大谷は天才だが、その下が松井、イチローだから量的に寂しい。だいたい今では少数になったが、昔は恐ろしくバカな野球指導がまかり通っていた。てゆうか指導できるレベルの人間がほとんど居なかった。そして大リーグしか目標がないものだから、二言目には「アメリカでは、、、」という会話になっていた。まさに猿マネであった。
サッカーは、今はスペインが一番主役なのだろうが、それ以外の多くの国で様々なアプローチがなされていてい、様々な意見を相対化できる。

そして最終的にサッカーの育成競争は、「幼児~少年育成競争」になるはずである。そこまでくれば本邦得意分野である。