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2009年5月29日金曜日

「カラマーゾフの兄弟」をよみとく 7

それでは未来に対応したカラマーゾフ兄弟とは誰か。
当然ながら、コーリャと仲間たちである。

それで少年たちのキャラクターを仔細に見てみる。
やはり分かりやすいのは、陰湿なイワンキャラである。
僧院でも、過去の人物でもそうだった。
未来の人物の場合は、
イリューシャがそれに相当する。
過去の人物ミハイルのごとく、
あっさり病死するからである。
では彼は、何の罪を告発したか。
「ジューチカに針を飲ませてしまった」
という罪である。

イワン:父殺しを告白する。
僧院の女4:夫殺しを告白する。
ミハイル:女殺しを告発する。
イリューシャ:ジューチカ殺しを告発する。

となって、これも綺麗に並ぶのである。

2009年5月25日月曜日

「カラマーゾフの兄弟」をよみとく 6

ここで「ゾシマの過去語り」を整理してみる。


大変わかりやすい。
さらに、以前アップした、ゾシマの女性信者のまとめと並べてみる。


適当に登場の順序を入れ替えながら、
上手に素材を使いまわしているのがわかる。
ではほかに、このような書き方をしている人々はいないものか。

過去語りの中の3兄弟は、文字通り過去の3兄弟である。
僧院の女性達は、3兄弟を抽象的に表現している。
文中で進行するのは、3兄弟の現在である。

そう類推するならば、
3兄弟の未来対応した登場人物が、
かならず存在するはずである。

2009年5月24日日曜日

「カラマーゾフの兄弟」をよみとく 5

僧院の女性信者の分析から、
おそらくゾシマの過去語りの登場人物も、
カラマーゾフ兄弟に対応していることが検討つく。

ゾシマの過去語りの登場人物は、
四人いる。

1:ゾシマの兄。若くして病死。
2:ゾシマ自身
3:召使
4:ミハイル

このうちミハイルは、
殺人と、隠蔽と、告白から、
ほとんどまったくイワン・カラマーゾフと同一人物である。

1:ゾシマの兄も簡単である。
本文の中で「アリューシャにそっくり生き写し」と書いてある。
つまり病死したゾシマの兄は、
アリューシャ・カラマーゾフと同一人物である。

最後にミーチャがだれなのか、さえ確定すればよい。
ゾシマ自身か、召使か、となるが、
ゾシマと召使の関係は、ようするに、殴る、殴られるの関係である。

となればこれも簡単。
ミーチャは、自分の親父も殴り、
イリューシャの親父も殴り、
どさくさにまぎれて召使も殴った。
つまり、ゾシマの過去語りの中では、
ゾシマ本人=ミーチャなのである。