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2014年8月2日土曜日

風立ちぬ・解説27

映画「風立ちぬ」の参照する文学作品は、3つある。
前回触れたダンテの神曲・煉獄編
堀辰雄の「風立ちぬ」
そして作中カストロプの言う「魔の山」である。

魔の山はサナトリウム小説と言う意味で、
堀辰雄「風立ちぬ」の元になった小説である。

堀の小説「美しい村」がフーガの章を持つ教会ソナタ形式であり、
マンの名作「トニオ・クレーガー」がソナタ形式であることからも、
この時期の堀がトーマス・マンを尊敬し、目標としていたことは間違いない。

「魔の山」で主人公は、
友人を見舞う為にサナトリウムに行き、
そこで自身も結核に罹患していると診断を受け、
数年間をそこで過ごし、
やがて快癒し、山を下りる。
その間様々な人間と出会い、語らいながら、
自身の人間性を高めてゆく。
そのうちの代表的な人物は「セテムブリーニ」というイタリア出身の文士である。

神曲:主人公はウェルギリウスに導かれる
魔の山:主人公はセテムブリーニに導かれる
映画「風立ちぬ」:主人公はカプローニに導かれる

となっており、導く人間は全てイタリア人である。
堀の「風立ちぬ」はだれにも導かれないが、
「魔の山」も「神曲」あるいは二つの「風立ちぬ」との関連を、
十分考察する必要がありそうである。

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