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2019年10月6日日曜日

悪霊・追記2

悪霊でも章立て表は用意した。
ズラズラ書いてたが大量になり過ぎた。
複雑怪奇な小説なのは、構成が複雑怪奇だからで、章立て表を作っても別に簡略にはならなかったのだが、だれかがより簡略で分かりやすい構成解析をしてくれるんじゃないかと思うから貼り付ける。

https://drive.google.com/file/d/1CrMFE02kVs3l7pVvLQSWQWTlNvIPz0fj/view?usp=sharing




第一部はたいへん構成が素晴らしい。最後のワルワーラ邸の全員集合に向かって人間が続々と用意されてゆく。その人間たちのキャラがまた立つ。登場人物一覧表も用意した。



カルマジーノフとリプーチンが望楼人リュンケウスだというのが、なかなか面白い対応だと思った。両者は不必要に情報通で、勢いに流されやすく、自分が何かを成し遂げることはほとんどない。頭は非常に良い。彼らの弱点がフィジカルにあるということがわかっているから、ピョートルは両者の前でのみガツガツを己が食事している光景を見せる。いずれも印象的なシーンを作れているが、ここではピョートルの戦略が優れているのである。同時に作者が両者を対にしていることが明快になるのである。


「ファウスト」ではリュンケウスは、いち早く世界の異変に気づく存在である。敵の襲来も、ヘレナの美貌も、パウキスの悲劇も、いち早く気づくが情報を知らせるだけで特になにもしない。

フェージカはステパンの元農奴だがステパン先生のカード賭博の借金のカタに売られて転落し、罪を犯して流刑囚になる。脱獄して故郷近辺をうろついている。最初ピョートルに使われていたが、やがてキリーロフに心酔するようになる。キリーロフはホムンクルスだから、ワーグネルの実質息子なのである。当然好きである。
エルケリは依然ピョートルに心酔している。もっとも最後になんだか捨てられそうな寂しさが表現されている。遅かれ早かれこちらもワーグネルになるのだろうが、そこまで描写されていない。ここらへ、作者Gとエルケリが対になっているという考え方もできて、私には明快な意見がない。だれか考えついたらお教えください。


今回始めて、「集中研究」をやった。
作中難解な箇所をエクセルに書き出して、集中的に検討する作業である。
本文の情報の20%くらいを書き出したと思う。通常の章立てより無論情報欠損が少ない。
やってみると大変有意義だった。難しい箇所が簡単に明快になる。「現代国語」なんかでわけのわかんない文章にウンウン唸る時間、あれは無駄であった。おそらくエクセルでこんな感じでまとめると、明快に読み解けたのではないだろうか。

こちらも一応全部掲載する。

https://drive.google.com/file/d/1CrMFE02kVs3l7pVvLQSWQWTlNvIPz0fj/view?usp=sharing


こういう読み解きをしてこなかったのは、ようするにエクセル使えなかった、使おうと思わなかっただけではないのかと思う。単純な話である。

亀山郁夫氏も

よみとき悪霊」
https://www.amazon.co.jp/dp/4106037130/ref=cm_sw_r_tw_dp_U_x_CmHKDb1CZ9Q5B

翻訳の「悪霊」第三巻末尾の解説、
https://www.amazon.co.jp/dp/433475242X/ref=cm_sw_r_tw_dp_U_x_EmHKDb7AA3EQC

両者とも非常にすぐれた解説だが、
このややこしい部分に正面攻撃は仕掛けていない。なんで正面攻撃をしないか。多分戦う前から諦めているのだろう。諦める必要はない。表を作ってしばらく眺めていればそのうちなんとかなるものである。

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