黒澤明と対談をおこなった。
黒澤の最後の映画「まあだだよ」は、
1993年の作品である。
そして、1997年に、「もののけ姫」が出来た。
黒澤映画を少々でも見た人は同意くださると思うが、
もののけは黒澤映画の後継である。
オカルトな表現になるが、
対談のときに、なにかが黒澤から宮崎に渡されたのだろう。
たとえば「もののけ姫」の以下のシーン
あるいは「千と千尋の神隠し」の以下のシーン
は黒澤の得意なアングルである。
(「乱」より)
「もののけ」と「千と千尋」は、
言うなれば、半分黒澤が作った。
次の「ハウル」「ポニョ」には、
黒澤の影響はない。
同様に久石の音楽も、
もののけで格段によくなった。
荒々しい打楽器あり、精緻なオーケストレーションあり。
言うなればもののけと千と千尋は、
半分黒澤映画の音楽である。
荒々しい早坂文雄と、
精密な武満徹、
かれらの影響を受けながら、必死でつくったのが、
この二本の音楽なのである。
だからすばらしい。
(武満以上にオーケストレーション上手い作曲家、歴史上何人居るだろうか?
その意味でここで久石は、地獄のような辛酸を舐めたはずである)
そして音楽も、次の「ハウル」と「ポニョ」には黒澤の影響は無い。
真似とか影響とか言うと悪く思われがちだが、
文化というものは全て真似である。
宮崎が2作影響を受けて作品をつくるほどそれほど、
黒澤は大きな存在であり、
宮崎は力量が高い、ということである。
疑う向きがあるなら、
ビデオカメラ持って、
黒澤なり宮崎なりの真似をしてみていただければ分かる。
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