さてダンテの「神曲」からの影響というか引用は、
「鏡」のそこかしこに見て取れる。
その最大のものは、3という数字である。
ダンテの神曲は、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A5%9E%E6%9B%B2
3行詩の連続の形態である。
以下Wikiより引用
『神曲』は、
地獄篇 (Inferno)
煉獄篇 (Purgatorio)
天国篇 (Paradiso)
の三部から構成されており、各篇はそれぞれ34歌、33歌、33歌の計100歌から成る。
このうち地獄篇の最初の第一歌は、これから歌う三界全体の構想をあらわした、いわば総序となっているので、
各篇は3の倍数である33歌から構成されていることになる。
また詩行全体にわたって、三行を一連とする「三行韻詩」あるいは「三韻句法」(テルツァ・リーマ)の詩型が用いられている。
各行は11音節から成り、3行が一まとまりとなって、三行連句の脚韻が aba bcb cdc と次々に韻を踏んでいって鎖状に連なるという押韻形式である。
各歌の末尾のみ3+1行で、 xyx yzy z という韻によって締めくくられる。
したがって、各歌は3n+1行から成る。このように、『神曲』は細部から全体の構成まで作品の隅々において、聖なる数「3」が貫かれており、幾何学的構成美を見せている。
ダンテはローマカトリックの教義、「三位一体」についての神学を文学的表現として昇華しようと企図した。
すなわち、聖数「3」と完全数「10」を基調として、 1,3,9(32),10(32+1),100(102,33×3+1) の数字を『神曲』全体に行き渡らせることで「三位一体」を作品全体で体現したのである。
引用終わり
映画の冒頭を思い出してほしい。
最初にイグナートがテレビをつける。
次のシーンはモノクロで、高校生の吃音の治療。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%8F%A1_(%E6%98%A0%E7%94%BB)
にあるように、女医の言葉と高校生の言葉が「鏡」になっているが、
同時に3という数字が象徴的に登場するシーンである。
少年はまず女医の眉間を見て、前に倒れる。
女医が後頭部に手を当てると、後ろに倒れる。
次に手を緊張させる。
3である。
手を緊張させた状態で女医は言う。
「3つ数えると緊張は解け、話せるようになる」
そして「1,2,3」
緊張は解け、どもらず話せるようになった状態で、
オープニングクレジットに移動。
以上はオープニングでの「3」の使用である。
「千と千尋の神隠し」の考察
をご覧いただきたいのだが、
(全てではないが)すぐれた作品の多くは、
冒頭部分に作品全体の本質を提示する。
タルコフスキーもここで、
「鏡」という側面と
同時に3、つまり「神曲」の後継作品であるという側面を、
効率的に提示している。
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