詳細な分析に必要な章立て表とは、以下のようなものである。
これを、豊饒の海4作すべてで作る。手間と言えば手間である。しかし大作を何十回も読むよりも、この表をつくって数回読むほうが、明らかにハイスピードに、かつ詳細に研究できる。もっとも短編、中編ならば作らなくてよいが、文庫本1冊まるまる使う作品より長い大作の場合には、章立て表作成と読み解きは、ほぼ同義である。
このような表をあまり見ないということは、ぶっちゃけ、さほど文学の研究はされていない、と言ってさしつかえないと思う。読んでいるようで、読み飛ばしているのである。理解しているようで、理解出来ていないのである。なぜそうなのか。それはみんなが、「詳細に読み込む」という世界を知らないからである。このへん国語教育の欠陥である。
数学は違う。関数y=ax+bがどういうグラフになるか、中学生の時に作図したはずである。つまり、耳と目、両方で理解しようとする。上記章立て表は、グラフに該当する。目を補助的に使うことにより、だれでも簡単に全体像が見渡せるようになるのである。
三島は優秀である。非常に頭が良い。私の頭はそれほど性能が高く無い。そんな私が三島を理解しようとしたら、なにか道具を使う必要がある。同じ100m走では絶対に勝てないのである。背中を押してくれるなにかが必要である。こんにちエクセルで章立て表を作るくらい、だれでも出来る。たいした道具ではないが、それでも十分三島と互角に戦えるようになる。「豊饒の海」を書くために、三島はノートを30冊作ったという話がある。これくらの表を作るくらいは、研究するなら当然である。そして幸いなことに、三島の時代にパソコンは無い。
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