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2016年4月17日日曜日

「豊饒の海」追記9

暁の寺の構成について説明する。暁の寺は、前半、後半の二部に分かれている。
後半にはジンジャンと姉が来日して、色々引っ掻き回す。
その前に、別荘が完成した際に、本多夫妻は、慶子、今西、槇子、椿原夫人と6人で車に乗って浅間神社へお参りに往く。その時の振り分けは、本多夫妻と慶子が同乗、今西、椿原、槇子が同乗である。この集団も、対になっている。






本多はその朝、本朝文粋を読む。天女伝説である。
「白衣の美女二人あり、山の頂に並び舞う」
これも対になっている。


さてここまで説明すると、だいたい全体像が見える。
「暁の寺」は、全体が対句構成でできているのである。本多に対応するのは今西である。つまり、本多の妄想の世界「豊饒の海」全体に対応するのが、今西の「柘榴の国」である。今西は本多とキャラがかぶる。今西は本多の敵である。

そして、本多別荘に火をつけたのかだれか理解できる。運転手松戸である。今西の寝煙草というのは嘘である。松族は常に本多の見方なのである。火事で焼け出されたはずだのに、腕時計とズボンを履いている以上、彼が犯人である。同時並行的に存在する「妄想世界の王様」を、忠実な運転手は葬ってくれたのである。本多は「奔馬」では、飯沼勲を上手く使って蔵原を暗殺させた。「暁の寺」では今西を暗殺したのである。


暁の寺の作中、巨乳が月に譬えられる。そして月光姫のジンジャンは巨乳である。今西は巨乳のブラジャーを拾って、椿原夫人に怒られる。本多の妻も巨乳を憎む。そして月を、つまり巨乳をほしいままにするのは、やはり松族の久松慶子である。天之羽衣伝説は、徹底して下敷きにしているのである。





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